iDeCoを運用してる人もこれから運用する人も受け取る時にどれくらいのお金がかかるか理解できていますか?
運用益を含めて金融機関に2,000万円と記載されてると、そのままもらえると思っている人が多いことに驚きました。
実は受け取り方法によって税金が全く異なるので事前に理解しておきましょう!
そこで今回はiDeCoを運用して60歳を迎えて、実際に受け取る時にどれくらいの税金がかかるかを解説していきます。
iDeCo(イデコ)とは?
そもそもiDeCoについて学びたい人はこちらの記事を参照ください。
iDeCoの受け取り方法
iDeCoの受け取り方法には3種類あります。
- 一時金で受け取る
- 年金で受け取る
- 一時金と年金で受け取る
受け取り方法を紹介する前に事前に注意事項だけご確認ください。
50歳から加入すると60歳から受け取れない可能性がある
最初の掛け金から最低10年の運用が必要なため、60歳の誕生日から受け取れない可能性があるのでご注意ください。
それでは受け取り方法における特徴を紹介していきます。
一時金で受け取る
一時金で受け取るというのは一括で受け取る方法です。
2,000万円を貯めていたら全額を1回の振込で受給します。
一括で受給する場合の所得税の控除項目は「退職所得」として扱われます。
また、一時金で受け取る際にかかる費用はこちらです。
項目 | 金額 |
---|---|
振込手数料 | 440円/回 |
iDeCoで貯めた年金は受け取る際に440円/回の手数料がかかります。
一時金で受け取る際には振込回数は1回になるので440円だけで済むのも地味に嬉しいポイントですね。
年金で受け取る
年金で受け取るというのは分割で受け取る方法です。
受け取り回数は年間で1、2、3、4、6、12回から選択できます。
受給する場合の所得税の控除項目は「雑所得」として扱われます。
項目 | 金額 |
---|---|
振込手数料 | 440円/回 |
口座管理費 | 0〜500円/月 |
年金の場合は一時金と異なり、口座に資産が残るため口座管理費用というのがかかります。
金額が意外と大きいのでしっかり理解しておきましょう。
一時金と年金で受け取る
これは特定額を一時金として受け取って、残りは分割で受け取るという方法です。
退職後に収入が全くなくなってしまうと不安な人などが利用しているようです。
受け取り方法別 税金シミュレーション
実際に受取時の税金の計算をしてみましょう。
計算をするにあたって、下記前提条件で計算していきます。
■ 前提条件
- 60歳から受給
- 年金以外に収入がない
- 会社での年金制度(401k 等)を利用していない
一時金として受け取る場合
一時金で受け取る際は「退職所得」として扱われます。
計算式は勤続年数が20年以下か20年超かで異なります。
勤続年数とは年金を拠出していた期間のため、iDeCoの運用期間を計算してください。
勤続年数 | 計算式 |
---|---|
20年以下 | 40万円×勤続年数 ※1 |
20年超 | 800万円+70万円×(勤続年数-20年) |
※1 80万円に満たない時は80万円として計算します。
上記の計算式に当てはめた10年単位での控除額は下記の通りです。
勤続年数 | 控除額 |
---|---|
10年 | 400万円 |
20年 | 800万円 |
30年 | 1,500万円 |
40年 | 2,200万円 |
具体的な例を用いて計算をしてみましょう。
勤続年数20年以下の具体例
下記、前提条件で計算してみましょう。
- 勤続年数18年
- 掛金を20,000円/月
- 年利4%
- 所得の計算
- 20,000円×12ヶ月×18年間×232%=1,002万円
- 控除額
- 40万円×18年=720万円
- 課税対象
- 1,002万円-720=282万円
所得計算の最後232%というのは、年利4%で18年間運用した場合の金利となります。
毎年1.04%が乗算されていくので、1.04(104%)を18回かけると算出できます。
iDeCoを利用せずに1,002万円を貯蓄すると全額に対して税金(33%)がかかりますが、iDeCoで運用すると720万円の控除を受けられるので課税対象の所得は282万円になります。
概算ではありますが税金にどれくらい差が出るかと言うと、150万円ほどの差が出ます!!
一般的にiDeCoが節税効果が高いと言われてるのはこういった仕組みからです!
ちなみに勤め先で401kなど企業型の個人年金を実施している場合は、先ほど紹介した所得の計算と同じように算出して最後にiDeCoの分に足すと出ます。
年金として受け取る場合
年金で受け取る場合は「雑所得」に扱われます。
年金の受給額 | 控除額 |
---|---|
130万未満 | 70万円 |
130万〜330万円 | 受給額×25%+37.5万円 |
330万円〜410万円 | 受給額×25%+37.5万円 |
410万円〜770万円 | 受給額×15%+78.5万円 |
770万円以上 | 受給額×5%+155.5万円 |
受給期間5年の具体例
先ほどと同様に貯まった1,002万円を、5年間で受け取った時の年間の所得税について計算していきます。
年金で受給する場合は、一時金と異なり受取回数と期間を指定するため前提条件に加えました。
- 60歳から受給
- 年金以外に収入がない
- 会社での年金制度(401k 等)を利用していない
- 5年間で全額を受け取る
- 年に1回の支給
- 所得の計算
- 20,000円×12ヶ月×18年間×232%=1,002万円。
1,002万円を5年間で割ると1年間で200.4万円 - 控除額
- 200.4万円×25%+37.5万円=87.6万円
- 課税対象
- 200.4万円-87.6=約112万円
1年間で課税対象となる所得は112万円になります。
単純な貯蓄とiDeCoを活用した際の所得税の差は約58,700円となります。
これを5年なので58700×5年=約30万円ほどの差が出てきます。
先ほどの一時金と比べた時に5年で課税対象の所得はどれほどの差があるか見てましょう。
一時金での受け取り | 年金での受け取り |
18.4万円 | 28万円 |
受け取り方法が違うだけで約10万円の差が出ます!
年金方式で受け取る場合は今回は5年で計算していますが、期間を10年など長くすると1年あたりで受給される金額が減るため税金ももう少し安くなります。
年金受給の場合のデメリット
年金受給の場合には一時金と異なりデメリットもあります。
それは口座管理費が毎月かかることと振込ごとに手数料が取られる点です。
口座管理費は金融機関によって異なりますが0〜500円/月ほどです。
振込手数料は440円/回かかります。
そのため5年間に分けると下記の手数料がかかります。
項目 | 手数料 |
---|---|
口座管理費 | 500円×60ヶ月=30,000円 |
振込手数料 | 440円×5年=2,200円 |
合計 | 32,200円 |
そのため今回は1年に1回の受給でしたが、毎月受給する場合は440円×12回発生します。
受け取る回数を減らしても1年で受給する金額は同じなので、受け取り回数は少なくすることをおすすめします。
一時金と年金として受け取る場合
こちらは先ほど計算した2つを組み合わせた形になります。
一部を一時金として受け取り、それ以外は年金形式で受け取るため、「退職所得」と「雑所得」の計算で算出できます。
2020年現在ではこれが最も利用されている受給方法になります!
管理人からの一言
受け取り方法だけでも税金の計算が変わることがお分かりいただけましたか?
最終的に貯まった金額は同じでも受け取り方法によって税金は大きく変わってきます。
iDeCoはご自身の老後の生活をより豊かにするための資産形成の方法です。
退職まで仕事を頑張って、貯めてきた資産ですのでできる限り有効に使いたいですよね!
私はまだ30代ですが、現段階では一時金と年金の組み合わせを考えています。
退職後は少し旅行にでも行きたいので、まとまったお金を一時金で受け取り、その後は年1回受給で受け取ろうかなと考えています。
ぜひ皆さんも今後の知識としてお役立ていただければと思います。